Holonic System by Nob HAGIWARA
家族の交流美術館 
          
       
Family Museum
 
 
かって日常的な礼拝行為と共に、家庭内での神聖な儀式のよりどころであったのがお仏壇でした。核家族化の進行や都市化によるスペースの狭隘化の進む現代社会において、心の問題が更に深刻化していることもあり、その位置づけは大きく変化してきているようです。

 自分のルーツを明らかにし先祖を大事にすることは歴史の文脈に自分を組み入れることで、心にやすらぎを与えます。核家族化が進み歴史から切り離されたような不安感を持つ現代の子供たちには、つとめて3世代交流の機会を作る必要があります。不幸にもそれが果たせない家庭では、自然な形で先祖との心の交流を図ることが望ましいのではないでしょうか。

 狭隘な現代都市生活の場でも、たった18cmの奥行きスペースのなかでそれは実現可能です。ここに提案するのは、床の間や仏壇置き場が無くても可能な、現代の日常生活に溶け込んだ飾り棚風の仏壇です。そこは家族が日々制作する小物や絵、写真の展示された小さな美術館です。その中に溶け込むように組み入れられた先祖の魂は、明るく楽しい雰囲気のなかで日常生活を共に享受することが出来ます。家族団らんの居間に置くことで、床の間や暖炉のような家族のよりどころとなる象徴的な空間となり、次世代の子孫に豊かな心を育むこととなるでしょう。
Nob HAGIWARA