最近日本でも多くなってきたグループホームは、もともとイギリスで精神障害者 |
のために作られたものが北欧で進化したものだそうです。あり余る高齢者住宅のた |
めかこのタイプはイギリスであまり建設されていません。あっても普通の住宅を改 |
造したものが多く、本格的なものは少ないようです。 |
ロザリンの両親が住んでいる住宅はベリー・シェルタード・ハウジングと呼ばれ |
る購入型のもので、最近人気が高い独立したケア付住宅です。一時金を支払って購 |
入し、月額の維持費が必要となります。考え方はスェーデンのサービスハウスや日 |
本のケア付有料老人ホームにも似たものがありますが、費用は一時金、月額ともに |
日本の有料老人ホームの半分程度でした。 |
住宅の管理は民間会社ですがケアは下請け会社に別料金を支払い、訪問看護婦や |
掃除婦、床屋などを呼ぶことができます。したがってこのタイプは住戸として独立 |
した終の棲家といえるものです。そのために一番大切なのはバス・トイレです。そ |
こは大きな部屋になっているので介護ニーズに応じてバスやトイレの配置換えが可 |
能です。リュウマチの母親の要求に応じて父親はバスルームを何度となく作り直し |
ていました。最初あったバスタブは車椅子では無理ということでシャワーブースに |
変えました。しかし冬は寒いので気に入らないという母親のクレームで、父親と私 |
でいろんなアイデアを出しました。最終的には日本の風呂桶に扉がついたようなも |
のを探して、やっと母親が納得するようなものになりました。 |
個室は2寝室ですが3寝室のものもあるようです。これは我々のように時々たず |
ねてくる子供や孫の泊まる部屋が必要だったり、高齢者は夫婦も寝室を別にするケ |
ースが多いからです。両親の場合もリューマチの母親は大きい方のメインベッドル |
ームで車椅子を使い、父親は隣室の小部屋でベッドに座りながらコンピューター3 |
台並べて楽しんでいます。リビングからは奥の深い庭がつながり、父親が大好きな |
ガーデニングを楽しむことができます。高齢者は長年ため込んだ大量の宝物を持参 |
しているので、ガレージの壁際がそのための収納スペースとなります。 |
最近の新しい選択肢として期待されるものにケア付高齢者コミュニティがあるそ |
うです。イギリスには実にたくさんのコミュニティーがありますが、高齢者のもの |
は見たことがありませんでした。50年代以降ドイツ、アメリカで普及しているそう |
で、98年ヨーク市郊外に実験的に作られたようです。基本的には70代前半からの |
同世代高齢者の住む住宅が、クラスター状に配置されて共同生活をするのです。コ |
ミュニティーの中心にはケアセンターがあって、介護が必要になればそちらに移る |
というものです。周辺住民も使える施設が用意されて開かれたコミュニティーを採 |
っているといいますから、街づくりとしては魅力的で是非いつか見学したいと思っ |
ています。 |
土地の豊富なイギリスではこうした高齢者の住宅はほとんどがバンガローと呼ば |
れる平屋建で庭付きです。また立地としては車椅子でも数分で行けるところにコン |
ビ二や診療所がある場合が多く、自立した生活が保障されています。 |
|
|
|
|
|
|
|